子供の頃の記憶を辿りながら、千葉県の野生ランを探す

千葉県初?!エンシュウムヨウラン発見か?!&キバナムヨウラン発見!!

                

(第67回)05月

千葉県初?!エンシュウムヨウラン発見か?!&キバナムヨウラン発見!!


いよいよ満を持して、sinちゃんとムヨウランの蕾状態で大群生していたエリアに出掛けました。
ムヨウランであることは、先日の別のエリア探索でわかっていたので、たくさん花が付いていて、良いアングルで撮れればいいなくらい のつもりで森へ入りました。
しかし、あれ?見当たらない...!
まあまあ、とりあえずキョンにでも食べられたのだろうと、少し別のエリアへ向かいました。
どこにでもあったので、食べられたとしても何本かは残っているだろうと。
なにせ100本近くは生えていたと思うので。
しかし、20分ほど探すも、sinちゃんも見つけられません。
すると、やっと背丈の低い蕾のムヨウランを発見。蕾なのでスルー。
sinちゃんが「あったー!けど、もう花がほとんど散ってるー!」
そう、なんとか10本ほど見つけたのですが、花がもうピークを過ぎているものがほとんどでした。
一週間ほど、開花時期を見誤ったようです。
しかし、9割近くも消滅してしまい、僅かに残ったムヨウランも背丈が低く小さい個体で、細い木の根元など、目立たない場所 に生えていました。
キョンか鹿かわかりませんが、獣恐るべし!自然を甘くみていました...。
いつもチェックしないエリアや時期に出てくるムヨウランですが、開花前に獣にほとんど食べられてしまうようで、 それがなかなか見つけられない一番の原因だったようです。
それでもやっと開花しているものを発見


先日別のエリアで見つけたムヨウランと同じような半開というより、完全開花に近い感じで、色も蕊柱と呼ばれる所が通常紫色が入るのですが、 この個体は真っ白でした。
ちょっと黄色っぽい個体も


この日は風が強く、葉っぱがなくて頭でっかちなので、ユラユラ揺れて、うまく撮影出来ませんでした。

やっと花がたくさん付いている個体を見つけたので近づいてみると、すべての花が下を向いてお辞儀しているような状態で、 もうピークを過ぎて枯れてきてるのではと思いましたが、そんな感じでははなく、まだ蕾もある状態で、もうこれ以上 開かない感じでした。
全部下を向いているので、下から見上げるように撮影してみたのですが、風で揺れまくってうまく 撮れませんでした。
明らかにその前に撮影したムヨウランとは別物に見えます。
さっそくグーグル先生で調べてみると、 あまり花が開かないものは、ムヨウランにも少しみられるとの事ですが、 代表的なものとして、エンシュウヨウラン、ウスギムヨウラン、ホクリクムヨウランがあり、 どれも千葉県では確認されていないらしいです。
ホクリクムヨウランは北陸、四国などに自生していて、花があまり開かないそうです。
それ以外の特徴として、花や茎に突起(ブツブツ)みられるそうですが、虫に食べられて傷が付いても 突起ができるので、あまり判断材料にはならないそうです。
色々な情報を要約すると、各ムヨウランの主な特徴は、
■ムヨウラン、エンシュウヨウラン、ホクリクムヨウラン→花の構造はほぼ同じ。唇弁がほぼ同じ色(黄色)で繊毛がある。
ウスギムヨウラン→唇弁の毛に突起があり、通常紫色になる。
■開花または半開花する→副萼の下が全く膨らまない→ムヨウランと考えてよい
ほとんど開花しない、または筒状開花→エンシュウヨウラン、ウスギムヨウラン、ホクリクムヨウランの可能性
■萼(花の根元)に小さな副萼があり、副萼の下が膨らむのが最大の特徴→エンシュウムヨウラン、ウスギムヨウラン
■副萼の下が全く膨らまない→花や茎に突起が見られる(絶対的な条件ではない)→花が下を向いている→ホクリクムヨウランの可能性

みたいな感じですが、 ホクリクムヨウランは私のような素人には判別できそうもありません。
しかも、学者の間で変種か独立種か見解が分かれていて、微妙な感じです。
下の写真は下を向いていて筒状にほぼ開花していないので、ホクリクムヨウランっぽい感じだったのですが、 副萼の下が膨らんでいます!!(ちょっと見づらいのですが)
さきほど撮影したムヨウランにはこのような膨らみは全くありませんでした。
もちろん、断定は出来ませんが、エンシュウムヨウランの可能性があります。
2013年に茨城でも見つかっているそうなので、可能性は大だと思います。


こちらも、ほぼ開かない筒状開花ですが、副萼の下に膨らみがありません。花の開かないムヨウランかと思われます。
ただ、他県ではこんな感じでホクリクムヨウランと掲載している人もいます。




なぜか、果実を付けずに咲いたまま落ちているものがほとんどでした。食べられたわけではないのに...。
風で揺れすぎて落ちてしまったかもしれません。


あまりに風が強く、まともな写真が撮れないまま電池切れとなり、悔しいので、2日後に再度自生地へ向かいました。
この日は運悪く午前中に小雨が降っていました。
さっそく探してみると、1本もなくなっていました...。
根元からないものもありますし、花が全部落ちて茎だけものもありましたが、まさか一本もなくなっているとは...。
2日前に蕾でスルーした個体も跡形もありませんでした...。
つまり、100本近くあったムヨウランが果実を付け、種子が飛び散る可能性は今年ほぼゼロということに...。

しかし、私にはリーサルウェポンが!!
実は7日ほど前に、あるメジャーな林道沿いで探索していたところ、茎から何から全てが黄色いムヨウランらしき蕾状態の個体 を発見し、午後からmitsuさんと見に行く事に。
そして咲いていました!!


ちょっと咲き方が変ですが...。


これだけ黄色いムヨウランは、「キイムヨウラン」という、エンシュウムヨウラン、ウスギムヨウランの黄花品種 と考えるのがスタンダードなのですが、 あくまでもその場合、「副萼の下が膨らむ」のが条件となりますので、 この個体には膨らみは全くありませんので、ムヨウランの黄花品種(Lecanorchis japonica var.kiiensis)
と考えるのが妥当かと思われますが、花はあまり開かないので、ホクリクムヨウランの黄花品種(Lecanorchis hokurikuensis form.kiiensis) の可能性も否定できません。
どちらでもネット上に写真はありませんので、かなりレアかもしれません。
ただ、ちょっと写真ではわかりづらいのですが、通常のムヨウランは交互に枝分かれするように花茎が分かれて咲くのですが、 このムヨウランは同じ所から分岐していますので、不思議です。しかも、ものすごくネジれています。
まさかとは思いますが、新種の可能性も...まあ、ないですね。
とりあえず、キイムヨウランとも言えないので、ムヨウランの黄花ということで、キバナムヨウラン(仮称)としておきます。


今回の成果(コンプリート)
エンシュウムヨウラン発見(かも)!
キバナムヨウラン(仮称)発見!